HOME > 鎮信流と教育 > 教養教育としての茶道文化
鎮信流と教育

鎮信流と教育

教養教育としての茶道文化


建学の理念と茶道文化

本学は建学の理念に「人間尊重を基本理念に、よりよい人間関係とホスピタリティの探求・実現、並びに文化と健康を大切にする社会の建設に貢献する教育・研究」を行うことと位置づけています。本学の教育の眼目とも言うべき「ホスピタリティ」の精神を、理論のみではなく、実践的に学ばせる教養科目として設置されているのが「茶道文化」です。高度な美的感覚と深い精神性との融合を目指す総合芸術として、我が国が誇るべき伝統文化の一つである茶道のなかでも、本学では地元長崎県にゆかりの深い鎮信流を取り入れています。開学当初から鎮信流に基づく「茶道文化」を教養教育の根幹として推進してきました。教養科目における「茶道文化」の位置づけと、各学科の専門教育に対するその関わり方は下図のとおりです。

教養科目における「茶道文化」の位置づけと、各学科の専門教育に対するその関わり方

「茶道文化」の授業科目としての特徴

本学の教養科目である「全学共通科目」の『人間理解』に位置づけられ、「茶道文化ⅠA」~「茶道文化ⅣB」までが開設されています。茶道の実技を中心とした演習として、週1コマ半期1単位の科目であり、各学年に対応して組み立てられています。授業内容は、茶道の歴史や思想、茶器や花器などについての解説と点前(てまえ)の実技指導から成り立っています。茶道点前の習得を基盤とする茶道文化の特質は、通常の講義・演習とは異なり、学内の茶道文化棟「自明堂」を研修施設として使用しています。

授業の実施状況

自明堂の内部「茶道文化ⅠA~ⅡB」では、まず「ホスピタリティ」の視点から茶道を取り上げることの意義を説明し、「茶道とは何か」「なぜ茶道を学ぶのか」という学習の動機付けを行ないます。そして、「人間づくり」の基礎として茶道における基本的な礼法を身に付け、茶道の精神や点前の作法を日々の生活のなかに活かすことができるよう指導します。また茶道文化ⅠBでは、実践される茶道の「ホスピタリティ」の精神を体得するため、客作法を学び、それを地域交流に活かすため、地域の各種茶会への参加を義務づけています。
「茶道文化ⅢA・ⅢB」では、点前の基礎編から応用編へと進み、点前のなかで示される「ホスピタリティ」、すなわち亭主(もてなす側)と客(もてなされる側)双方の心遣いや気配りを中心に、茶道の三要素(落ち着き・姿勢・道具の位置)などについて考えていきます。また、本学の中庭で教職員のみならず地域の方々も参加する「観月茶会」を実施しており、地域交流にも貢献しています。

  • 教員1人当たり7~8名の学生を指導するという、ゆとりある教育形態を確保しています。
  • 学生に達成感をもたせるために、点前の一つひとつのプロセスを徹底して指導するという「割稽古」の形態をとり、個々の学生の能力に対応しています。

さらに「茶道文化ⅣA・ⅣB」では、茶会を通して「もてなし」とは何かを学びます。茶会では、学生が亭主・客の立場を経験し、「おもてなしの心」をそれぞれの視点に立ち学びます。また、裏方での準備・整理にあたる水屋仕事を体験することにより、茶会の企画という一連の作業のなかで「協働性」が芽生えていくことを目指しています。