お知らせ

2023年07月07日

【令和5年度 総合演習ⅢAヒューマニズム教育(茶道)】客作法の実践と茶席体験を通して


 昨年度も実施した、薬学科6年生の開講科目である総合演習ⅢAにおいて、2コマ分を茶道文化が担当しました。

 茶道では、「亭主=もてなす側」がお菓子や抹茶などで、「客=もてなされる側」をもてなしますが、薬局においては心に不安を抱える患者に優しく声をかけたり、お年寄りのために曜日ごとに飲む薬を小分けにするなど様々な場面で、茶道のもてなしの心(=ホスピタリティー精神)が発揮されると思います。患者にとって飲みやすい新薬を開発することも、ホスピタリティー精神の表れであると思います。

 1回目は、客作法の実践として自明堂に集合し、座礼法、菓子の出し方、取り方、お茶の出し方、飲み方を実践しました。ほとんどの学生が5年ぶりに自明堂に来室し、礼法などを実践しましたが、長崎国際大学の1年生は茶道の授業が必須(茶道文化ⅠA(前期開講)、ⅠB(後期開講))であるため、5年ぶりとは言え、1年間しっかりと学んだことは、身体が覚えているようで、少々苦戦しながらも次第に思い出しながら和やかな雰囲気で学んでいました。

昨年は、コロナ禍で実践できなかった、お茶とお菓子を実際に頂くことも感染症対策を行いながら実践できました。

【客作法の実践(お茶の飲み方)】
【客作法の実践(お菓子の取り方)】

 この日、床の間に掛けられた軸は「啐啄同時(そったくどうじ)」でした。「啐」とは、ひな鳥が殻から出ようとするときに内側からコツコツとくちばしでつつくことで、「啄」とは、親鳥がひな鳥が出てくることを知り、外側からコツコツとくちばしでつつくことを指します。この両者のタイミングがそろわなければ、ひな鳥は生まれてくることはできません。親子が間髪入れずに、同時に殻をつつき合う、この絶妙なタイミング(機)のことを「啐啄同時」と言います(出典:有馬賴底著『やさしくわかる茶席の禅語』92頁、世界文化社)。

 この「啐」と「啄」の関係は、茶道においては「師匠」と「弟子」、「亭主」と「客」に置き換えられますが、薬局においては、やはり「薬剤師」と「患者」に置き換えられると思います。薬剤師は患者の不安な気持ちに寄り添い、患者は薬剤師の言葉に耳を傾けることで、一日も早い病気回復へと向かうことができるのではないでしょうか。

 2回目は、場所を1101教室に移し、「茶と音楽のしらべ」と題した茶席体験を実施しました。昨年同様に、上野裕介様(クラシックギター教室「静奏(しずかな)」講師)のリュートの調べに合わせ、嶋内麻佐子特任教授(茶道文化研究所所長)が薄茶点前を行いました。

 点前開始前には、1回目で行ったお菓子の取り方(客作法)を実践し、復習しました。点前は、野点(のだて)(がさ)を立て、立礼でのお点前でした。野点(屋外で行う点前)の雰囲気の中、初めて聞くリュートの音色と嶋内教授の流れるような点前を拝見し、かつてオランダ貿易港として栄えた平戸の情景が思い浮かんだことと思います。学生全員にお茶を提供することはできませんでしたが、お客様として登壇した薬学科教員(1回目:藤田英明教授(薬学部学部長)、2回目:倉岡卓也講師)と代表学生2名にお茶が出されました。

点前終了後には、リュートを演奏いただいた上野様より、リュートの伝播と曲名の紹介がなされ、ました。また、当日の道具組を書いた「会記(かいき)」と嶋内教授の心入れが書かれた紙も学生たちに配布されました。

【客作法の実践(お菓子の取り方)】
【リュートに合わせてのお点前】
【点前を真剣に見入る学生たち】
【お茶の提供】
【学生に配布された会記】

 授業終了後に実施されたSGD(グループディスカッション)では、学生から以下のような感想がありました。

・茶道ではきれいなお点前が心を清らかなものにしてくれる。しかし、誰もが初めからきれいなお点前をできるわけ ではなく練習が必要である。同様に、薬剤師として働くときも初めからしっかり服薬指導できるとは限らず、しっかりと服薬指導するには自己研鑽が必要である。

・病院薬剤師と薬局薬剤師の薬剤師像を実現させるためには、一般的に学ぶ薬学的専門知識に加えて、本学での茶道 を通じて学んだホスピタリティーの精神が必要だと感じた。本学を卒業し一医療人になった後も、“おもてなしの精神”を忘れずに医療に貢献したい。

・今回茶道の歴史やおもてなしの心について学び、将来薬剤師として社会に出た時に、患者さんとの接し方や患者さんの視点に立つこと、コミュニケーションの適切な取り方などに繋げることができると感じた。患者さんにも様々な性格の人がいるが、どんな患者さんに対してでも心に余裕をもって一人一人に対 して誠実に向き合っていけるような薬剤師になりたいと考える。

・茶道を通して、医療人としてのあるべき姿を考えると、患者を理解し、分かりやすい服薬指導を行うことや、自己修養を続けながら、安心して通院できる医療現場の構築、時代に応じた医療を提供できることが気づけた。それを実践するためには、多職種連携や、日々の会話から患者の状況を考え続けられる意識を大事にしていきたい。

・今回の茶道では普段意識できていなかったコミュニケーションを意識した事で、非言語的な仕草や表情がより鮮明に感じられ、今までの自分の感覚とは違うものが見えてきたと感じた。

 (※本コメントは、SGDで作成されたレポートから抜粋した。一部箇条書きだったものを文章化した。)

 「茶と音楽のしらべ」では、野点傘に「無事」の短冊が掛けられました。「無事」とは、「無事是れ貴人、但造作すること莫れ、祇是れ平常なり」という言葉の一部です。仏の教えは、どこか遠くにあるのではなく、私たちの日常のなかにあり、造作することなく自然と行うことが「無事=仏の道や悟りをあれこれと探し求めない」ことを意味します。


 これから薬学科6年生は、6年間の学びの集大成として「薬剤師国家試験」を受験しますが、「無事」の禅語が示すように、あれこれと考えず国家試験合格の道のみを探求していただきたいと思っています。そして、薬剤師免許と茶道文化で学んだ「もてなしの心」と「ホスピタリティー精神」を携えて、薬局など臨床の現場へと進み、地域、日本、世界で活躍する薬剤師となることを願っています。

【「無事」の短冊】

お知らせ

2023年05月26日

波佐見町歴史文化交流館開館2周年 「はさみ茶会」開催


本学と連携協定を締結している波佐見町にある波佐見町歴史文化交流館にて、「茶道文化ⅣA」履修学生が「はさみ茶会」を開催いたします。4年間の学びの集大成として、心を込めておもてなしをさせていただきます。是非お気軽にお越しください。

●日 程:2023年6月24日(土曜日)

●茶席料:500円(1席15名様程度)

●時 間:予約制(先着順)①10:00~②11:00~③12:00~④13:00~⑤14:00~

●申込先:波佐見町歴史文化交流館(波佐見ミュージアム)

Tel & Fax 0956-85-7355

URL:www.town.hasami.lg.jp/rekibun/

*お申し込みの際はお名前、ご連絡先、ご希望の時間帯、人数をお伝えください。


お知らせ

2022年10月20日

波佐見「秋のお茶会」開催のご案内


本学と連携協定を締結している波佐見町にある波佐見町歴史文化交流館にて、「茶道文化ⅢB」履修学生が波佐見「秋のお茶会」を開催いたします。紅葉の美しい庭園を眺めながら、くつろいだ雰囲気のお茶会ですので、お気軽にお越しください。

●日 程:2022年11月19日(土曜日)

●茶席料:500円(1席10名様程度)

●時 間:予約制(先着順)11:00~ 12:00~ 13:00~ 14:00~

●申込先:波佐見町歴史文化交流館(波佐見ミュージアム)

Tel & Fax 0956-85-7355
Mail bunkazai@town.hasami.lg.jp

*お申し込みの際はお名前、ご連絡先、ご希望の時間帯、人数をお伝えください。
*なお、当日は検温、マスク、手指消毒など感染対策へのご協力をお願いします。


お知らせ

2022年06月25日

長崎国際大学 波佐見茶会の開催


本学と連携協定を締結している波佐見町にある波佐見町歴史文化交流館の開館1周年記念として、「茶道文化ⅣA」履修学生による波佐見茶会を実施いたします。

期日  2022年7月2日(土曜日)

料金  500円  1席10名程度 (先着順)

時間  ・11:00~ ・11:30~ ・12:00~ ・12:30~ ・13:00~ ・13:30~ ・14:00~ ・14:30~

会場  波佐見町歴史文化交流館町和室

お申込み・お問合せ  波佐見町歴史文化交流館 (波佐見ミュージアム)

〒859-3702 波佐見町湯無田郷1010-1 Tel/Fax  0956‐85‐7355

*お申し込みの際はお名前、ご連絡先、ご希望の時間帯、人数をお伝えください。

*当日は検温、マスク着用、手指の消毒など感染予防対策へのご協力をお願いいたします。


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2019年11月12日

開国祭 茶道部茶席


長崎国際大学では、11月2日(土)、3日(日)に開国祭が開催されました。濃茶席と立礼席の2席を茶道部の3年生から1年生が力を合わせて、おもてなしをいたしました。

今年の茶道部のテーマは「初心」。令和の時代が幕を開け、新たな気持ちで臨みたいという学生の思いが込められています。

濃茶席の待合に、『阿蘭陀船絵巻』の塗盆を、飾りました。平戸のオランダ商館、長崎の出島に縁のある阿蘭陀船が描かれており、さらに元号が改まり、長崎国際大学と茶道部の新たな時代への「船出」の意味を込めております。濃茶席は、長板の点前を行いました。学生は緊張した面持ちでしたが、お客様から優しくお声かけをいただく場面もあり、心温まる経験ができました。

    ああ

 

 

 

ああああ濃茶席            接待の様子

 

薄茶席では、1、2年生を中心に立礼の席でのおもてなしをいたしました。初めてお点前をする学生もおり、不安もあったようですが、お客様との関わりを通して、もてなすことの大切さを学ぶ良い機会となりました。

 

 

 

 

ああああ薄茶席            接待の様子

 

夏季休暇期間中に練習を重ねてまいりました。茶会が終えると学生達は達成感を感じ、とても安堵した様子が印象的でした。学生たちは、「臨機応変に対応することの大切さ」や「お客様に喜んでいただきたいという心の在り様」などを学ぶことができたと言っておりました。

今後も鎮信流の教えを学び、大学茶道部としての伝統を、後輩たちに受け継いでほしいと願っております。