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2017年07月01日
両忘
「
私たちは日常生活の中で、生と死、喜と怒、哀と楽、好きと嫌い、美と醜、善と悪、真と偽、そして幸と不幸など、対立する二つの価値観の間で右往左往しています。あれかこれかという決断を迫られ、どうしたらよいかの判断に窮してしまうこともしばしばです。これは生きていく中で避けられない事態だとも言えましょう。
しかし、この「両方忘れる」という禅語は、そうした対立的な価値観へのこだわりを忘れ、二元的な思考を乗り越えるべきことを教えたものです。白か黒か、自分の内か外か、というようなこだわりを捨て、時には「どっちだっていいではないか」と大らかな気持ちになることによって、清新な気持ちで物事を見つめ直すことができるかもしれません。