2023年07月31日
「アメリカウィスコンシン大学スタウト校よりお茶室訪問!」
7月26日(水)に、アメリカウィスコンシン大学スタウト校より学長他2名、その他関係者6名の合計8名の方々が本学を訪問されました。
今回のおもてなしは、茶道文化補助員4年生2名、茶道文化履修学生2名の4名で来客対応をしました。
最初に茶道文化研究所所長嶋内先生よりご挨拶がありました。本学の特色である茶道文化について話があり、通訳の方を介し興味深い様子で傾聴されていました。
挨拶終了後、薄茶点前を披露。鎮信流の特長や点前の所作の意味などの説明を受け、熱心に見入られていました。また今回点前で使用している道具、床の間についても詳細に説明をいたしました。
亭主が点てたお茶は、ウィスコンシン大学スタウト校学長キャサリン・フランク先生へ。
初めてのお茶とお菓子、学生のおもてなしの姿にとても感動されていました!
関係者の方々は日本のお菓子やガラスの茶碗にも関心を持たれ、形や色合いなどについても関心を寄せられていました。
薄茶点前を披露した国際観光学科4年中村紋野さんは昨年度半年間イギリス留学を経験していました。最後に英語で皆さんへお礼の言葉を述べました!
中村さんの言葉にとても感激され、大きな拍手をいただきました。
お見送りは全員で行いました。最後まで笑顔でお帰りになりました!
最後におもてなしをしたメンバーで記念撮影!!
突然の来客でしたが、普段の授業で学んでいる経験を活かし、臨機応変に対応してくれました!
参加した学生からは、「言葉が通じなくても、笑顔で丁寧な対応を心がけようと思いました!」、「社会人になってからも、急な対応を求められることもあると思うので、今回のような経験を活かしていきたいです!」というコメントがありました。
皆さんお疲れさまでした!皆さんのおもてなしの心はきっとお客様の心に残ったのではないかと思います。また、後期も一緒に頑張りましょう!
2023年07月07日
【令和5年度 総合演習ⅢAヒューマニズム教育(茶道)】客作法の実践と茶席体験を通して
昨年度も実施した、薬学科6年生の開講科目である総合演習ⅢAにおいて、2コマ分を茶道文化が担当しました。
茶道では、「亭主=もてなす側」がお菓子や抹茶などで、「客=もてなされる側」をもてなしますが、薬局においては心に不安を抱える患者に優しく声をかけたり、お年寄りのために曜日ごとに飲む薬を小分けにするなど様々な場面で、茶道のもてなしの心(=ホスピタリティー精神)が発揮されると思います。患者にとって飲みやすい新薬を開発することも、ホスピタリティー精神の表れであると思います。
1回目は、客作法の実践として自明堂に集合し、座礼法、菓子の出し方、取り方、お茶の出し方、飲み方を実践しました。ほとんどの学生が5年ぶりに自明堂に来室し、礼法などを実践しましたが、長崎国際大学の1年生は茶道の授業が必須(茶道文化ⅠA(前期開講)、ⅠB(後期開講))であるため、5年ぶりとは言え、1年間しっかりと学んだことは、身体が覚えているようで、少々苦戦しながらも次第に思い出しながら和やかな雰囲気で学んでいました。
昨年は、コロナ禍で実践できなかった、お茶とお菓子を実際に頂くことも感染症対策を行いながら実践できました。
この日、床の間に掛けられた軸は「啐啄同時(そったくどうじ)」でした。「啐」とは、ひな鳥が殻から出ようとするときに内側からコツコツとくちばしでつつくことで、「啄」とは、親鳥がひな鳥が出てくることを知り、外側からコツコツとくちばしでつつくことを指します。この両者のタイミングがそろわなければ、ひな鳥は生まれてくることはできません。親子が間髪入れずに、同時に殻をつつき合う、この絶妙なタイミング(機)のことを「啐啄同時」と言います(出典:有馬賴底著『やさしくわかる茶席の禅語』92頁、世界文化社)。
この「啐」と「啄」の関係は、茶道においては「師匠」と「弟子」、「亭主」と「客」に置き換えられますが、薬局においては、やはり「薬剤師」と「患者」に置き換えられると思います。薬剤師は患者の不安な気持ちに寄り添い、患者は薬剤師の言葉に耳を傾けることで、一日も早い病気回復へと向かうことができるのではないでしょうか。
2回目は、場所を1101教室に移し、「茶と音楽のしらべ」と題した茶席体験を実施しました。昨年同様に、上野裕介様(クラシックギター教室「静奏」講師)のリュートの調べに合わせ、嶋内麻佐子特任教授(茶道文化研究所所長)が薄茶点前を行いました。
点前開始前には、1回目で行ったお菓子の取り方(客作法)を実践し、復習しました。点前は、野点傘を立て、立礼でのお点前でした。野点(屋外で行う点前)の雰囲気の中、初めて聞くリュートの音色と嶋内教授の流れるような点前を拝見し、かつてオランダ貿易港として栄えた平戸の情景が思い浮かんだことと思います。学生全員にお茶を提供することはできませんでしたが、お客様として登壇した薬学科教員(1回目:藤田英明教授(薬学部学部長)、2回目:倉岡卓也講師)と代表学生2名にお茶が出されました。
点前終了後には、リュートを演奏いただいた上野様より、リュートの伝播と曲名の紹介がなされ、ました。また、当日の道具組を書いた「会記(かいき)」と嶋内教授の心入れが書かれた紙も学生たちに配布されました。
授業終了後に実施されたSGD(グループディスカッション)では、学生から以下のような感想がありました。
・茶道ではきれいなお点前が心を清らかなものにしてくれる。しかし、誰もが初めからきれいなお点前をできるわけ ではなく練習が必要である。同様に、薬剤師として働くときも初めからしっかり服薬指導できるとは限らず、しっかりと服薬指導するには自己研鑽が必要である。
・病院薬剤師と薬局薬剤師の薬剤師像を実現させるためには、一般的に学ぶ薬学的専門知識に加えて、本学での茶道 を通じて学んだホスピタリティーの精神が必要だと感じた。本学を卒業し一医療人になった後も、“おもてなしの精神”を忘れずに医療に貢献したい。
・今回茶道の歴史やおもてなしの心について学び、将来薬剤師として社会に出た時に、患者さんとの接し方や患者さんの視点に立つこと、コミュニケーションの適切な取り方などに繋げることができると感じた。患者さんにも様々な性格の人がいるが、どんな患者さんに対してでも心に余裕をもって一人一人に対 して誠実に向き合っていけるような薬剤師になりたいと考える。
・茶道を通して、医療人としてのあるべき姿を考えると、患者を理解し、分かりやすい服薬指導を行うことや、自己修養を続けながら、安心して通院できる医療現場の構築、時代に応じた医療を提供できることが気づけた。それを実践するためには、多職種連携や、日々の会話から患者の状況を考え続けられる意識を大事にしていきたい。
・今回の茶道では普段意識できていなかったコミュニケーションを意識した事で、非言語的な仕草や表情がより鮮明に感じられ、今までの自分の感覚とは違うものが見えてきたと感じた。
(※本コメントは、SGDで作成されたレポートから抜粋した。一部箇条書きだったものを文章化した。)
「茶と音楽のしらべ」では、野点傘に「無事」の短冊が掛けられました。「無事」とは、「無事是れ貴人、但造作すること莫れ、祇是れ平常なり」という言葉の一部です。仏の教えは、どこか遠くにあるのではなく、私たちの日常のなかにあり、造作することなく自然と行うことが「無事=仏の道や悟りをあれこれと探し求めない」ことを意味します。
これから薬学科6年生は、6年間の学びの集大成として「薬剤師国家試験」を受験しますが、「無事」の禅語が示すように、あれこれと考えず国家試験合格の道のみを探求していただきたいと思っています。そして、薬剤師免許と茶道文化で学んだ「もてなしの心」と「ホスピタリティー精神」を携えて、薬局など臨床の現場へと進み、地域、日本、世界で活躍する薬剤師となることを願っています。