2012年05月31日
洗心
このコーナーでは、茶席で用いられる掛け軸(“茶掛け”といいます)の言葉を選び、その内容を簡単に紹介していきます。茶掛けは茶室の床に掛けられて、その茶席の趣旨や雰囲気を表現するものです。したがって、そこには茶道の目指すところが、端的に表現されているといってよいでしょう。よろしくご愛読ください。
「洗心」
茶道では仏教のなかでも、特に禅宗の言葉を重んじ、しばしばその書を掛け軸にします。この言葉も禅宗で用いられるもので、修行によって心を清め、向上させていくことを意味します。私たちは顔や手などは毎日よく洗うのに、心を洗うことは怠りがちです。しかし、本当に大事なのは心の汚れを取り去っていくことであり、それを放っておけばおくほど、汚れは落ちにくくなります。茶道を学ぶことによって、自分を見つめ直し、心の汚れに気づくことができればいいですね。
長崎国際大学 副学長 木村勝彦