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スタッフブログ

2025年07月17日

第5回「波佐見茶会を終えて・・・」


 茶道文化Ⅳの集大成としての茶会が、7月5日波佐見町の歴史的な場所、「波佐見町歴史博物館」で開催されました。学生の皆さんにとっても、学びの成果を地域と共有できる素晴らしい機会になりました。

 今回は、お客様の申し込みが多く、どの席も満席。お客様には、茶席の時間を待つ間、木々の揺らぎと空間を味わい、館内の展示物も見ていただきました。

 さて・・・ようやくお待たせのお茶席です。

 茶席は、薄茶点前の逆勝手。今回のテーマは、七夕のロマンチックな雰囲気と水の清らかさや涼しさを表現してみました。水指に笹の葉の絵、棗には蛍の笹の水、平茶碗の底に花びらの形どったものなどを用意し、幻想的なイメージが広がってほしいと願いを込めました。

 そして亭主は、たくさんの練習を重ね点前を披露いたしました。緊張感と達成感が満ち溢れる時間でした。半東さんは、お客様からの多くの質問に、一生懸命答えていた姿が誇らしく感じました。

 水屋は、まずは美味しいお茶を点てることに専念しました。授業の際でも何度もお茶を点てて、お湯の温度、抹茶の量などを調整しました。

 そのお茶をお客様に届けるのが接待の役目でもあります。茶室が狭いのでその狭さをお客様に感じさせないように、1人の人が座ってお茶を出せるように工夫をしました。

 受付は、待っているお客様の対応や人数などを水屋に伝え、一般客や卒業生、学園内のお客様の対応に追われました。お子様ずれのお客様や座ることができないお客様に対しての配慮にも心掛けるなど、人対人の関係の学びを沢山致しました。

 それぞれの役割のなかで、実践を通して学ぶことの意義や連帯感の大切さ、さらには人や物に対する優しさも学ぶ良い機会となりました。

主催した学生の感想

 亭主としてお点前をする中で、一つ一つの小さな動作に集中し、そのすべてが正客をはじめとしたお客様へのおもてなしであることを意識した結果、客と亭主、お茶会全体に一体感があった。半東が緊張から言葉に詰まることがあり、もう少し客と半東とのやり取りの練習をしておくべきだったと思った。(国際観光学科4年)

 練習通りにいかない部分もあったが、接待間での取り次ぎの練習の成果を発揮できた茶会にすることができ良かった。接待という役割を通して、接待は、亭主、半東、水屋全ての役割と繋がっている部分があり、接待の動きができていないと茶会を上手く動かせないと感じた。(国際観光学科4年)

 本番での反省点は、想定外の流れに戸惑うことがあり、自分で考えて行動できていない部分があったことである。しかし、その中でもお客様に対して丁寧に対応することができた部分は良かったと思う。(国際観光学科4年)

 自分の役割をこなしながらも、しっかりチームの一員として周りを見て、時には他のポジションにも気を配る大切さを将来に役立てていきたい。また、おもてなしの心も忘れない。(国際観光学科4年)

フィールドワークとしてお茶会に参加した学生の感想

 今回参加させていただいた波佐見茶会が人生で初めての茶会だったので、とても緊張していたのですが、私が想像していたよりもはるかに優しい雰囲気と柔らかい雰囲気があり、緊張していたのですが安心して茶会に参加することができました。(国際観光学科1年)

 少し難しかったけど授業などでは体験することのないことをことなので体験する事が出来てよかったです。また、今日の掛け軸が「平常心是道」というものでした。先輩方が今までやってきたことを発揮するという意味だと伝えられました。掛け軸にもお茶会に対しての意味がありどんな理由で掛けられているのか知ることができました。(国際観光学科1年)

 お手前だけではなくて、お茶を運ぶところもヘリを踏まずにすり足で歩くまた、お茶を立って一人一人回るのではなく、バトン渡しのようにほこりが立たないようにお客さんに提供していることを学びました。(国際観光学科1年)

 そして「もてなし」とは何なのか?

 茶の湯の静けさや精神性。展示物と学生の立ち居振る舞い。亭主と客の関連性など。響き合って、まるで時代を越えた文化交流のように思えます。

 これから、学生たちは卒業茶会を目指して「一期一会」の精神で頑張ってほしいと願っています。


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2025年07月01日

「茶道文化ⅢA」グループでの実技試験


 「茶道文化Ⅲ(3年次開講科目)」を履修している学生は、「茶道文化Ⅳ(4年次開講科目)」への履修を目指すに当たって、「茶道文化Ⅰ(1年次必修科目)」と「茶道文化Ⅱ(2年次開講科目)」で点前の基本である、「薄茶点前」と「濃茶点前」を学んでいます。
 今回、それらの点前が、お客様を迎える茶会の中で、どのような組み立てになっているのかを確認することを目標にグループでの実技試験を実施しました。グループでの実技試験の内容としては、亭主、半東、客といった茶会での役割に分かれて、それぞれの作法等の理解度を実践を通して確認するというものです。実技試験に向けて、授業の中でも各役割に分かれて、練習を行いました。

客作法の練習
半東のお運びの様子

試験内容:茶会における薄茶の場面を想定して試験を実施。
実施方法:授業で学んだことを基本にして、4名で1グループを作り、学生は亭主、半東、客の3つの役割から実践内容を選び、試験に臨む。

 亭主は、前半(お茶を点てて客に出す)と後半(茶碗が戻り仕舞うまで)に分けて、2人態勢で薄茶の点前をするという形式をとり、点前が基本通りにできているかを確認しました。
 半東は、菓子器を運ぶ作法、お茶を出す作法等ができているかどうか、また、その際の給仕口の出入りについて理解できているのかを確認しました。
 客は、出入り口の入り方、襖の開け閉め、席入りができているのか、お菓子を取るタイミングと取り方、お茶の飲み方、亭主への声掛けなどを確認しました。

席入りの様子
薄茶点前の様子
お菓子を取る様子
お茶を出す様子

 今回のグループでの実技試験を実施した結果、学生の茶道に対する意識が向上したことや、自分の役割を真剣に、そして真摯に受け止め実践したこと、茶会の流れである亭主と客(迎えるものと迎えられるもの)との関係性が理解できたのではないかと考えられます。
 ここで、実際にグループテストを受験した学生のコメントをいくつか抜粋して掲載します。

 今回はグループでのテストということで、次客にお茶を出したときに正客がお茶を飲み終えている状態だったかを確認したりと、常にグループの他の担当の人がどのような状態だったのかを周りを見て考えて動くことが出来たと感じる。これは茶道だけに言えることではなく日常の生活や、部活動などでも役立てることができる部分だし、茶道を通してこのように日常に役立つことも学習することが出来るというのはとてもプラスなことだなと感じることができた。(国際観光学科 Nさん)

 グループでしたおかげで、みんなとコミュニケーションがとれ、関わることのない違う学部の人ともお話しして仲良くなることができた。1人では気づけなかったことも、みんなの意見を聞くことで理解することができた。また、茶道で大切にされている「おもてなしの心」や「思いやり」が、実際の協力の中でも感じられた。反省点もあるが、グループで一つのことに取り組む楽しさと達成感を味わえた、貴重な経験になった。(国際観光学科 Fさん)

 これから「茶道文化Ⅲ」を履修している学生は、後期に「錦秋茶会」を実施いたします。この茶会は、大寄せの茶会で100名という大勢のお客様を一同にお迎えして開催する茶会です。
 学生にとって、それぞれの役割を学ぶことで「おもてなし」とは何か?について考える機会を今後も与えていきたいと思います。