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[徒然雑感] 平成22年度入学式学長式辞

2010年04月02日

[徒然雑感] 平成22年度入学式学長式辞

 新入生の皆様、入学おめでとうございます。ここ数日来の雨が、今朝は天気予報を裏切って晴天となりました。皆さんの門出を祝すかのように、目を転じますと、自然の恵み、大地の恵みをしっかりと受け止めた動植物たちが、美しく、たくましく生命の輝きをみせてくれています。このすばらしい時の恵みのなかに、385名の新入生を長崎国際大学にお迎えできましたことは、教職員一同にとりまして大きな喜びです。

 保護者の皆様、そして高校をはじめとする関係者の皆様、今日の日をお迎えになられますまで、絶えず励ましお支えくださいましたことと存じます。敬意と祝意をこめて「おめでとうございます」と申し上げます。また、本日は新年度の御多忙な日程を割いて、朝長佐世保市長をはじめ、多くの御来賓の御臨席を賜りましたことに、心からのお礼を申し上げます。

 本日をスタートとして私ども教職員は入学生の皆様と場所と時間を共有し、共感してまいりますが、保護者からお子様をお預かりするという感覚にとどまらず、「未来社会からの預かりもの」、「歴史からの預かりもの」という思いで教育をしてまいります。教職員一同、この預かりもののひとりひとりにどのような付加価値をつけてお戻しするのか、それが大学に問われていることを自覚しなければなりません。

 本学は、教育の基本理念を「人間尊重」に置いています。それを具体的にあらわしたモットーが「いつも、人から。そして、心から。」です。本学の学部学科はいずれも、今後益々社会に必要視されている「対人サービス」の専門分野であり、利用者中心の目線で人間尊重を主旨とできる人間性豊かな人材育成をしていくことが不可欠です。 しかし一方では、今日の若者たちの中には、体験、経験に基づく判断よりもインターネット情報によって結果だけを手に入れ、受身で平均的な思考行動に陥っている傾向もあります。本来、教育には即効性がないのが当たり前です。

 本学では、いずれの学部学科にありましても、科学・技術、研究の成果とともに絶えざる学びによって導かれた知識、人とのふれあいや社会の変化を把握し、地域の自然や歴史、暮らしに直接学び、地域と共に存在し必要化され地域に貢献できる能力が求められています。隣人としての留学生との交わりをとおして異文化や国際的視野を広げていくことも、欠かしてはなりません。

 教職員はあらゆる機会を活用して、「人間尊重」の理念が空文化することなく、人間としての質の確保を目指して、仕事に責任を担うことができる人づくりをしていきます。この目標なしには、求められる対人サービスの現場に人材として送りだすことはできません。まさに付加価値はここにあり、と申し上げてよいかと存じます。しかし、今日の社会は、人と人とのあたたかいつながりや社会的な縁(えにし)も薄れ、「無縁社会」とも表現されるほどです。日本の自殺者は11年連続で年間3万人、孤独化、虐待、通り魔殺人など、殺伐として生き辛い社会の姿があります。

 この大学からさほど遠くない外海地区に『遠藤周作文学館』があります。そこには「人間が こんなに 哀しいのに 主よ 海があまりに 碧いのです」という碑があります。しかし、その海も自然も環境も危険信号が点滅しているのが現状である、と言わざるを得ません。このような社会状況にあっても、尚志高く、命の使い方=使命感をもって、「人間尊重」の精神を、おのおの、人として絶えず発揮できる人材であれかし、と教職員一同心から願っています。

 新渡戸稲造は「人格のないところに責任は生じない」と述べています。
   to know・ 知るだけでは十分ではない
   to do・・・・ それを実行することが大事である
   to be・・・・ 最も大切なことはあなたがあなたとして人格として存在することである

 このことばを新入生の皆さんに伝え、私の式辞といたします。