教員・研究者教員・研究紹介
井畑 敦子(いばた あつこ)講師
所属
人間社会学部 国際観光学科
専門分野
医療・看護・環境人類学、マルチスピーシーズ人類学、環境人文学、国際地域保健、精神保健福祉研究、伝統医療、インド、マレーシア地域研究、異文化コミュニケーション、英語教育
研究テーマ
プラネタリーヘルス、認識・存在論、社会病理、医療化・脱施設化、脱人間中心主義と人新世、ウェルビーイングとメンタルヘルスリテラシー、代替医療、治療儀礼、治療的共同体、社会・文化資源
担当科目
英語コミュニケーション、英語演習、専門演習、教養セミナー
所属学会
多文化間精神医学会
World Association of Psychiatric Rehabilitation
United Indian Anthropology Forum
Medical Anthropological Association of India
研究室
研究棟 310号室
連絡先
ibata
URL
プロフィール
1994年3月 桜美林大学国際学部国際学科卒業
1997年5月 インド国立タゴール国際大学大学院農村復興センター人類学部修士課程修了(M.A in Anthropology, Department of Anthropology, Rural Reconstruction Center, Visva-Bharati University, West Bengal, India)
2000年9月 長崎大学熱帯医学研究所熱帯医学ディプロマコース修了
2004年5月インド国立ネルー大学大学院社会科学研究科社会医学地域保健センター公衆衛生学博士前期課程修了(社会保健学修士)(M. Phil in Public Health Studies, Center for Social Medicine and Community Health, School of Social Sciences, Jawaharlal Nehru University, Delhi, India)
2015年5月 インド国立デリー大学大学院人類学部研究科博士後期課程修了(医療人類学博士)(Ph. D in Medical Anthropology, Department of Anthropology, University of Delhi, Delhi, India)
2018年3月 ふくい園芸カレッジ(福井県立農業大学校)第28期修了
職歴
1997年10月~1999年3月 日本放送協会 国際放送局 南アジア班 編集アシスタント
1998年4月~2000年3月 国際基督教大学教養学部国際関係学科助手
1998年4月~1999年3月 自立生活センター立川パーソナルアテンダント(介護士)
1999年4月~2000年3月 精神保健福祉士協会事務局
2000年9月~2001年8月 帯広ケアセンター(精神障害者授産施設) 精神保健福祉士
2002年4月~2005年3月 読売新聞デリー支局長室アシスタント
2008年7月~2010年6月 デリー大学大学院人類学部研究員(災害研究への学際的研究プロジェクトのアジア事務局:MICRODIS on Integrated Health, Social and Economic Impacts of Extreme Events: Evidence, Methods and Tools 6th Framework, European Union project consortium at Delhi University, India)
2010年9月~2012年3月 在マレーシア国連大学国際保健研究所 国際精神保健部研究員(Research Associate, Mental Health Division, United Nations University, International Institute for Global Health, Kuala Lumpur, Malaysia)
2014年7月~2014年11月 イエメン私立アザル大学人的資源開発学部客員研究員(Visiting Scholar, Human Resource Department, Azal University, Sanaa, Yemen)
2015年12月~2016年3月 イタリアトリエステ州 地域制審保健センター WHOコラボレーションセンター インターン (Internship in Community Mental Health Center, WHO Collaboration Center for Research and Training Center, Trieste, Italy)
2016年4月~2019年3月 株式会社 まつや(まつや千千旅館)茶室付 茶道、英語指導
2017年11月~2019年10月 COCO塾ジュニア英語教室 ホームインストラクター
2017年4月~2022年3月 福井大学 工学部 講師 (英語)福井大学 国際地域学部 (リサーチ方法論)
福井医師会専門学校 講師 (異文化コミュニケーション)
2023年4月~現職
研究紹介
研究紹介
計20年に及ぶ医療人類学の海外研究生活では、メンタルヘルスとそのサービス向上について焦点を当て、インドを主な調査地としてきました。社会資源や文化的サポートシステムの伝統的なあり方を北東部の少数民族のコミュニティにおいて検討し、その背景的な理解を深めるものとして、マレーシアにある国連大学の国際保健研究所において調査研究に従事し、精神保健やHIVーAIDSを中心とした国際会議やワークショップなども手がけました。今後は、水質保全と伝統的な自然観の比較文化的考察について、エコヘルスの観点から環境人類学的な探求を深めていきます。フィールドとしては、これまで関わってきたインドとマレーシアをベースに、ペルーやブラジルなどのアマゾン流域などの自然崇拝を中心とした精霊信仰に生きる少数民族の存在論を通して、エコロジカルアプローチをベースとした水問題と保健にまつわる実践的な提言を健康生成論の観点から研究を深めていきたいと考えています。また、薬草と和ハーブを中心に園芸福祉士として農福連携を実現できる場づくりを志していることもあり、先に述べた地域精神保健研究でのデータの蓄積と合わせて実践知と融合させ、関連する論考をエコサイキアトリーの分野に提言できればと思います。国際地域医療をフィールドとして多文化医療、患者を中心とした他者理解、多文化共生を研究テーマとしてきましたので、現地の経験に基づいた実践的な知識伝達を通して、異文化理解や課題発見に向けたフィードバックができればと考えます。
研究活動
- 『東京都精神病院調査』 1999年6月~2000年6月
- 1995年から1999年にかけて都内精神病院訪問調査参加『東京精神病院事情95→ 99』として出版
- 『精神障害者のホームヘルプサービスの事例調査』 1998年4月~1999年6月 全日本精神障害者家族連合保健福祉研究所が行った「ホームヘルプを中心とした精神障害者の福祉的ケア:サービス事例調査を踏まえて」の事例調査に参加。のちに同研究所編集でぜんかれん保健福祉研究所モノグラフNo.21として出版
- 『インドアッサム州カルビアングロング県のプライマリーヘルスケアサービスの現地調査』 2004年10月~2005年4月 インドのUniversity Grants Commissionから助成を受けたジャワハルラルネルー大学院社会科学研究科社会医学地域保健研究センターによる北東インドにおけるプライマリーヘルスセンターの現状把握と地域保健の課題について調査のなかで当該県を単独で担当し、ディプーを中心にHamren地域にあるPHCを訪問、調査。
- 『エイズ疾患が途上国において齎す社会経済及び精神保健的負荷に関するセミナー』開催 2011年11月21日~2011年11月22日 国連大学国際保健研究所 同国際セミナー(Socio-economic and Mental Health Burden of HIV/AIDS in Developing Countries)を主宰するにあたり実行委員会を構成し、専門家から患者グループまで、問題に関わるいろんな方面のステークホルダーをリストアップ、コンタクトし、ロジスティクスをアレンジし、招聘。セミナー構成も委員会を重ねて検討。
- 『国際精神保健連携のパートナーシップ構築に向けての国際ワークショップ』主催 2011年11月23日 国連大学国際保健研究所 同国際ワークショップ(International Workshop Report on Building Partnership for Global Mental Health Alliance)を主宰するにあたり、WHO WPRO地域のアジアを中心とした精神保健に関する専門家をリストアップ、コンタクトし、ロジスティクスをアレンジし、招聘した。ワークショップ構成及びレポート作成
社会活動
- 2003年~2007年 インドのホームレス精神障碍者リハビリ施設と地域保健NGOのAshadeep(アッサム州), Karna trust, Mother’s Home(共にアルナーチャルプラデーシュ州)にて、ボランティア活動に従事
- 2018年~2022年 精神保健ボランティア クレヨン 会員 福井市の精神病院にて 英語指導のボランティアに従事
- 『農業女子プロジェクト:白魔女のハーブ』参画 2018年4月~2019年3月 (株式会社)越前夢ハーブとのコラボにより、自然栽培で育てた和漢薬草を農業水産相の農業女子プロジェクト補助金で事業に主要企画メンバー、生産者として牽引。WWHは White Witch Herb の略。)無農薬で育てた和ハーブや漢方に使う薬草を加工し、六次化商品として開発したものを、プロジェクトでホームページを作り販売。http://e-yumefarm.jp/wwh/project/
- 『福井の伝統的焼き畑農法保全プロジェクト』主催 2019年4月~2019年3月 福井市美山町上河内
岐阜県との境に位置する上河内地区において850年に渡り山の斜面で栽培されてきた赤かぶらを市民に紹介し、実際の農作業への参加を促し、伝統保全と人不足への足掛かりを付けるため、JR西日本が企画し発行する「ふくのね」という広報雑誌に記事を掲載、実際に数名が参加。 「スローファーム水月」として生産、企画、運営、販売https://www.fukunone.online/CMSF/uploads/vol3fukunone.pdf
教育活動
前任校では、リサーチ方法論において留学生も交えた授業を英語で講義し、マクロで国際的な視座を持ちつつ現場に根差したプロジェクトベースの研究調査ができるよう、常にグローカルな視点を提供する授業を行ってきました。また英語の授業では、国際人としての素養が構築されるように世界情勢や英語をツールとしてその先を専門性とともにつかめるよう、より広い観点から物事をとらえられるように促し、看護学校においては異文化コミュニケーション科目を通して専門である医療人類学を活かした講義・演習を通して、多様性や存在の尊重の重要性を伝えてきました。語学もコミュニケーションもともに他者理解と自己認識の意義を再確認するものであり、文化を通して人間のあり方を探求する人類学的素養を反映するものです。蓄積した知識を広く伝達できる教育活動を通して、育成と変容の契機になれればと思います。また、専門である医療人類学を生かし、学生の相対的視点からの視野の広がりとクリティカルシンキングに基づいた物事への洞察や分析的視点が深まるよう、好奇心に目覚め創造性が豊かになる手助けをしてきました。今後より国際化していく社会では、包括的相対的視点がますます必要とされていく中で、文理融合をベースとした発想力、共感力、応用力を培い、本質的、普遍的な事象に焦点を当てた多角的な現実世界での課題設定と問題解決に向けた知とそのノレッジトランスファーの新しいモデル構築ができればと思います。
研究実績
論文
- A.Ibata, International Workshop Report on Building Partnership for Global Mental Health Alliance, International Institute of Global Health, United Nations University, UPKM, Malaysia, 2011
- A.Ibata, Bon medicine among the Monpas in Western Arunachal Pradesh, Tribal Health and Medicines. A. K. Kalla and P. C. Joshi, eds., Tribal Health and Medicines. A. K. Kalla and P. C. Joshi, eds. New Delhi, India: Concept Publishing (pp.318~340)
Concept Publishing, New Delhi, India, 2004 - A.Ibata, Suicide: The highest cause of death among reproductive ages in rural India”, Anthropology and Human Rights in Contemporary Era: Anthropological Perspectives, Vol. 3. IUAES Inter Congress on Mega Urbanization, Multi-Ethnic Society Human Rights and Development, Buddhadeb Chaudhuri ed., Inter-India Publications, New Delhi, India, 2006
- A. Ibata, Nyibu or Miri- Report on Traditional Healing and Community Based Rehabilitation in Central Arunachal Pradesh, Bulletin of the Society for Indian Medical Anthropology (SIMA), July 3 (1);4-16.
- 井畑敦子 チッタダーマ ホームレス精神障碍者リハビリテーションセンター ワールドリンク、こころの元気プラス、30-33ページ、2月号、地域精神保健福祉機構、2016
- インドのアパタニ族にみられるインフォーマルな精神保健福祉の在り方 ワールドリンク、こころの元気プラス、30-33ページ、12月号、地域精神保健福祉機構 2013
- インド北東部アルナーチャルプラデーシュ州における地域精神保健活動 ワールドリンク、こころの元気プラス、32-35ページ、5月号、地域精神保健福祉機
2013
学会発表
- Indigenous Psychiatry, At World Social Psychiatry Congress, Agra, India, 2000
- “Significance of Traditional Knowledge and Practice for Healing in Rural India" At People's Health Assembly, Dhaka. Bangladesh, 2002
- “Bon medicine among the Monpas in Western Arunachal Pradesh” National Workshop on Emerging Issues in Tribal Health and Medicines at Delhi University, India
- “Suicide: The highest cause of death among reproductive ages in rural India” National Conference of Society for Indian Medical Anthropology, in Anthropological Survey of India, Mysore, India, 2005
- “Effectiveness of informal Rehabilitation for Homeless Mentally Ill Woman in Guwahati, Assam", Inter Congress of the International Union of Anthropological and Ethnological Sciences, Calcutta, India2006
- “Suicide: The highest cause of death among reproductive ages in rural India” Indo-France Meet in Psychiatry, Psychology, Anthropology, Delhi, India 2007
- “Origin and Institutionalization of Donyi-polo, an Indigenous Religion in Central Arunachal Pradesh" the Extended Eastern Himalaya, International Seminar on Origin and Migration Among Tibeto-Burman Speakers of organized by Humboldt University, Berlin, Germany, 2008
- “Community Mental Health and Informal Care in Central Arunachal Pradesh, India", At International Conference of World Association of Psychosocial Rehabilitation, at National Institute of Mental Health and Neurology, Bangalore, India, 2010
- “Intervention as Community Mental Health” At International Seminar on Negotiating Intervention, Institute of Tribal Studies, Rajiv Gandhi University, Arunachal Pradesh, India, 2010
国際会議参加
INTERNATIONAL MEETING on A community without seclusion - the challenge of the open door, open discourse, open access in mental health care and services through practices of freedom