研究紹介生化学研究室
教員名(内線) | 准教授:藤本 京子(3741) |
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担当科目 |
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研究テーマ |
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研究内容 |
「乳酸菌生産物質が示す有効作用」に関する研究近年、ヒトの腸内フローラのバランスの悪化と疾患との関連が指摘され、腸内環境を整えることが健康の維持増進さらには疾患の予防に密接にかかわることが広く認知されています。ヒト腸内には、500種類、100兆個を超える腸内細菌が共棲し、中でも有用とされている腸内細菌が腸内フローラを形成することで、相加的あるいは相乗的作用により総合的な保健効果を発揮しているであろうことが様々な研究データから提唱されています。しかしながら、それらの腸内細菌そのものをすべて摂取することは、有用菌の中にある嫌気性菌を培養することの技術的な難しさや大量の菌を摂取する難しさ、さらに摂取した菌が腸へ到達するか否かの不透明さを考えると極めて困難です。 そこで生化学研究室では、これらの問題を打開するべく、健常人の腸内環境を模倣し、従来から腸内環境を整える上で効果的であるとされる21種類の腸内細菌由来の菌を選択し、体外でそれらの菌を複合培養する(すなわち、健康な腸内環境を模倣した培養)ことで得られた培養濾液(乳酸菌生産物質 PS-B1)を用いて広く保健効果の研究に取り組んでいます。 腸管免疫に着目した大腸がん予防に関する研究 家族性大腸ポリポーシス症のモデルマウスApcMin/+マウスを利用して、腸管腫瘍発症の仕組みを分子レベルで解析しています。腸管内は感染性の微生物の侵入を拒絶する免疫システムが発達しています。しかし、その一方で腸管内には無数の腸内細菌が拒絶されることなく共生しています。我々の研究において、腸管腫瘍数が少ないApcMin/+マウスの盲腸内容物中にはEnterococcus が有意に増加していることが分かりました。また、その腸管内には、免疫中枢ともいわれるパイエル板数が有意に増加していたことから、腸内細菌が免疫器官に刺激を与えることで腸管腫瘍の発生を抑制したのではないかと考え、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。腸内細菌がもたらす恩恵に着目し、無理なく続けられる本気の予防法を見つけたい!このことを目標に研究を遂行しています。 |