学部学科トピックス
【社会福祉学科】自らの福祉に関する考え方を揺さぶられる体験「川棚町での学習支援」
長崎県の川棚町を中心として、平成24年7月より「生活保護世帯の子どもを対象とした学習支援事業」が実施されています。これは、いわゆる「貧困の連鎖」や貧困ゆえに生じる様々な課題の解決、安心できる居場所の提供などを通して、子どもの「社会的自立」を目指す取り組みです(長崎県東彼・北松福祉事務所による委託事業、特定非営利活動「地球っ子」が実施)。
本学社会福祉学科の豊島律教授が当該事業の「運営委員」として、また、社会福祉学科の学生7名が「学習支援アルバイトスタッフ」としてこの事業に参画しています。
学習支援には、小学生・中学生と「地球っ子」スタッフ(学習支援員)および本学学生が週に2度集い、様々なやり取りを介して信頼関係をつちかいながら、一人ひとりに合った学習・生活の支援を継続的に行っています。
大学で社会福祉を学ぶ学生にとって、学習支援での子どもたちとのやり取りは、机上での学びを実践する“福祉力”を試される場でもあると同時に、自らの福祉に関する考え方や観点が揺さぶられる体験ともなっており、貴重な経験を積んでいるようです。
当該事業が始まってから1年と4ヶ月が経過しましたが、学習支援の効果は如実に表れているようです。今後もこの取り組みに対して、大学としてできるかかわりを行うことで、様々な困難や不利を乗り越えられるような社会の実現の一助となることを願っています。
【学生の声】
益田先生から参加してみないかというお話をいただき、最初は不安だったのですが、実際に見学に行き、子どもたちと会ってみてやってみたいという気持ちを強く持つようになりました。様々な事情をかかえた子どもたちと接することはとても大変で最初は戸惑いばかりでしたが、何回も関わりを持つことで少しずつ心を開いてもらえるような存在になれたと思っています。子どもたちとの関わり方についてはとても勉強になっています。宿題をみたり学校であった話を聞いたり遊び相手になったりと、場合によってはなかなか家庭でそうした機会がないことをすることで、子どもたちの心の拠り所となれるよう取り組んでいます。このような活動に参加することは、とても貴重な経験となっています。今後はもっと子どもたちと触れ合いながら、子どもたちの良きお姉さんのような存在となれるといいなと思っています。そして、個人的にはこの経験を将来にいかしていきたいです。
濱崎 まりな(社会福祉学科・3年)
1年間学習支援ボランティアに携わってたくさんのことを学びました。最初の方はどうすればいいのか模索する日々だったのですが、目に見えてその成果が現れることで、子どもたちも、そして教えている側もやる気が出てきました。親から子へ貧困の連鎖が続かないように私たちにできることを今後も行っていきたいと思います。
伊藤 夏菜美(社会福祉学科・2年)
勉強をしたいと思っているにもかかわらず、経済的理由など様々な事情であきらめている小中学生の学ぶ機会や可能性を広げる一端を担いたいと考え、この活動に参加しました。活動の過程で、勉強を教えるのではなく一緒に悩み、考えることが大切なのだと気づきました。また、教えてもらっているのは自分の方なのだと考えるようになりました。自分が小中学生のとき、こんなお兄さんやお姉さんの存在があれば良かったのにとも思います。子どもたちが成長し、あの時は楽しかったなぁと時々思い出してもらえる存在になりたいと思って活動に取り組んでいます。
畝本 こずえ(社会福祉学科・2年)
この事業に参加したきっかけは、子どもが好きで、将来は子どもと関われるような仕事をしたいと思っていたからです。この活動に参加して感じたのは、学習意欲の背景には信頼関係ががあるのではないか、ということです。当初、学習活動に消極的だった子が、コミュニケーションを重ね、仲良くなるうちに、学習意欲が高まり、会話も積極的になってきたからです。勉強は独りでは出来ないし、進まないのではないかと最近思います。好奇心旺盛な子どもたちと、いろんな話をすることで、今までわからなかった事を理解し、喜び合えることが大切なのではないかと、この活動を通して感じました。子どもたちと一緒に悩んだり、勉強したり、話し合ったり、遊んだり、子どもたちにとって、対等で友人のような
人でいたい、そして、子どもの心情に寄り添えるような活動をこれからもしていきたいです。
山口 博子(社会福祉学科・2年)