大学院トピックス
【薬学研究科】 日本薬学会九州山口支部主催・特別講演会を開催いたします。
2024年8月2日(金)、日本薬学会九州山口支部主催・特別講演会を開催いたします。
どなたでも参加できます(事前登録不要)。
学部生・大学院生の参加を歓迎します。
特別講演会 概要
演者
徳永 研三 博士(国立感染症研究所 感染病理部 主任研究官)
演題
幅広い抗ウイルススペクトラムを有する宿主因子MARCH8の感染制御機構
日時
2024年 8月2日(金)16: 00〜17: 00
会場
長崎国際大学薬学部 6104教室
講演要旨
宿主E3ユビキチンリガーゼMARCH8は、様々なウイルスエンベロープ糖タンパク質を標的としてウイルス粒子への取込みを抑制し、産生されたウイルスの感染性を低下させる。それにより、MARCH8は第3の免疫と呼ばれる内因性免疫(intrinsic immunity)の要の一つとして、細胞の抗ウイルス防御における重要な役割を果たす。我々のチームは、最初のMARCH8の細胞生物学的な研究報告に続き、2015年にMARCH8の抗ウイルス機能を初めて発見し、ネイチャーメディシン誌に発表した。それ以降、欧米および中国を含む多くのグループが「ウイルス感染 vs MARCH8」の研究に取り組んできたが、その中でも我々はMARCH8研究の最前線に立ってきた。具体的には、他のMARCHファミリーメンバーであるMARCH1およびMARCH2の抗ウイルス機能、MARCH8の異なる2つの分子機序によるウイルス感染抑制、MARCH8が様々なウイルスエンベロープの細胞質リジンを標的とした抑制活性、MARCH8の抗ウイルス活性における動物種間の保存性・責任領域・細胞間感染における効果について次々に明らかにしてきた。しかし、その重要性にもかかわらず、MARCH8の分子作用機序やその活動を調節するネットワークは十分に解明されていない。これらの点について理解することは、内因性免疫に関する研究を大いに進展させ、新たな治療法の開発に繋がる可能性がある。本講演では、我々のこれまでの研究成果について、時系列に沿って概説したい。
連絡先
長崎国際大学薬学部 機能形態学研究室 藤田 英明
E-mail:fujita@niu.ac.jp