学術研究トピックス
【薬学科】薬学部正山教授が「世界中医薬学会連合会」の副会長に就任
日本では「漢方」として知られる「Traditional Chinese Medicine (TCM)」は世界的には「中医」または「中医薬」と表現されます。慢性病、難治性の病気の治癒・寛解、また抗がん剤などの副作用の軽減など、人間の体全体のバランスの改善に効果的であることから、近年、この漢方薬に対する注目が高まってきています。また医師や歯科医師、薬剤師を養成する医歯薬分野のコア・カリキュラム(教育課程の中核部分)にも「漢方薬」が含まれるようにもなるなど重要性が増しています。
しかし現在、日本において漢方の原料は、その大部分を輸入に頼っていますが、世界的な利用の拡大から資源の枯渇が危惧され、原価の高騰が進んでいます。一方で、国民の医療費負担軽減のため、保険診療に適用されるように薬価が抑えられていることから、「逆ザヤ」現象が発生し、業者が輸入・製造を断念せざるを得ない状況もあり、このままでは自由診療となってしまう可能性も出てくるなど、様々な課題があります。
こうした背景を踏まえ、World Federation of Chinese Medicine Societies(世界中医薬学会連合会)では、「中医薬」の分野で活躍する研究者を表彰し、新たな企画の検討など「中医薬」の研究開発の振興を図る活動を行っており、その副会長に本学薬学部の正山教授が就任したものです(任期4年:2012年7月~2016年7月)。
正山教授は、漢方薬に深く関わっている「生薬」や「天然物化学」を専門とする研究者であり、平成19年4月から平成20年3月まで日本生薬学会長を努めるなど、国内外のこの分野で活躍、要職を歴任してきました。最近では、玄海町に開所した「薬用植物栽培研究所」において重要な生薬である「甘草(カンゾウ)」の栽培研究などにも取り組んでいます。