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トピックス

学術研究トピックス

2016.05.31

【学術研究】株式会社ファンケルと薬学部製剤学研究室の共同研究により体内効率を高めて効果を持続するビタミンCの新技術を開発いたしました。

株式会社ファンケルと長崎国際大学 薬学部 薬学科 製剤学研究室(中島 憲一郎教授、神谷 誠太郎講師)では、2011 年から水溶性ビタミンの「体内効率」※1 に関する技術研究を進めてまいりました。今回、水溶性ビタミンの代表的なビタミンCの体内効率を高めるために、体内から排出を抑制する技術と、体内へ放出を調節する技術の2 つの新しい技術開発をしました。

 ※1 体内効率:機能成分の性質や働きを見極め、その力が体内で最大限に発揮されるように工夫する独自技術です。

 

1.研究背景・目的

ビタミンCは、美容や健康に役立つビタミンとして、食品やサプリメントだけでなく、医薬品まで幅広く利用されています。その一方で、体内への吸収や代謝が早いため、摂取したビタミンCが体内で十分に活用されにくいという課題があります。

そこで株式会社ファンケルでは、「サプリメントの機能成分を、体内へ持続的に放出させる技術=徐放性※2」の研究を発展させ、①「ビタミンCを腸内に留め、排泄されにくくする技術」と②「ビタミンCを微細な顆粒から持続的に体内へ放出させる技術」を開発しました。

 ※2 徐放性:排泄されやすい水溶性成分などをサプリメントの中から徐々に放出させることにより、長時間体内に留める機能です。徐放性技術をサプリメントに応用すれば、飲む量や回数を減らす事にもつながります。

 

2.研究結果

① 「ビタミンCを腸内に留め、排泄されにくくする技術」

ビタミンCの効果を十分に活用するためには、徐放性の技術だけでなく、腸内などの体内に留まる性質を併せ持つことが必要とされています。

株式会社ファンケルとの共同研究の結果、ヒアルロン酸が腸内などに付着する性質を利用し(図1)、ヒアルロン酸とビタミンCを複合化することで、ビタミンCを腸内に留め、体内への吸収量が増加する事が示唆されました(図2)。

ヒアルロン酸は、美容成分として知られ、関節や皮膚にも多く分布することから、体内に安心・安全であり体内効率を高める成分として今後の応用が期待されます。

 

 

② 「ビタミンCを微細な顆粒から体内へ持続的に放出させる技術」

通常サプリメントは錠剤やカプセル剤といった剤形を利用し、体内での持続時間をコントロールしていますが、腸内などのぜん動運動(消化物を移動させる臓器の収縮運動)や消化酵素の分泌状態が異なるため、個人差が出やすいなどの課題があります。

そこで、剤形に依存せず持続時間を維持できるように、ビタミンCを放出させる技術を開発しました。本技術では、ビタミンCと数種の食品成分を使用することにより、1mm以下の細かな顆粒のサプリメントであっても、ビタミンCの放出を調節できることが見出されました。

また、ビタミンCの放出時間を調整することも可能で、お客様の体調を考慮した上で、体内での持続時間を適切にコントロールすることが期待されます。

 

3.今後の展開

当社では今後ビタミンCをはじめ、水溶性ビタミンを腸内など体内に留め排泄されにくくする技術と、微細な顆粒から持続的に放出させる技術を組み合わせ、1 日1 回の摂取で十分な効果が得られる、今までにない高い体内効率を発揮するサプリメントの開発につなげていく予定です。

なお、これらの研究結果は、本年3月26日から29日に開催された日本薬学会 第136年会(於:神奈川県)にて「アスコルビン酸の吸収に関する研究:徐放化基剤の評価」「アスコルビン酸の0次放出を可能とした徐放性顆粒剤の開発」として発表いたしました。

 

4.教員紹介

(1)中島 憲一郎(なかしま けんいちろう)

《職位・資格》学長・教授/薬学博士・薬剤師
《専門分野》製剤学、臨床分析化学
《経歴》

1996年 長崎大学薬学部教授
2001年 長崎大学薬学部長・薬学研究科長(~2005年)
2002年 長崎大学医歯薬学総合研究科教授
2008年 長崎大学副学長(~2011年)
2012年4月 長崎国際大学薬学部教授
2014年4月 長崎国際大学副学長
2016年4月 長崎国際大学学長(現在に至る)

  

(2)神谷 誠太郎(かみや せいたろう)

《職位・資格》講師/博士(薬学)・薬医師
《専門分野》物理薬剤学、製剤学
《経歴》

2006年5月 長崎国際大学薬学部薬学科 助手
2008年4月 長崎国際大学薬学部薬学科 助教
2013年4月 長崎国際大学薬学部薬学科 講師(現在に至る)

  

5.本件に関するお問合せ

株式会社ファンケル 社長室 広報グループ
 〒231-8528 神奈川県横浜市中区山下町89-1
 TEL: 045-226-1230

長崎国際大学薬学部薬学科 製剤学研究室
 〒859-3298 長崎県佐世保市ハウステンボス町2825‐7
 TEL:0956-39-2020(代表)

 

 

 

 

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