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学術研究トピックス

【学術研究】和田守正前教授(薬学部分子生物学研究室)のがんの発生と悪性化におけるABC トランスポーターの役割に関する総説論文が薬学雑誌にアクセプトされました。

ATP-binding cassette transporter (ABCトランスポーター)は、ATPのエネルギーに依存して様々な基質を輸送する膜タンパク質である。大腸菌からヒトまで高度に保存されており、様々な遺伝性疾患、加齢黄斑変性症、アルツハイマー症、糖尿病などの多因子疾患への関与や、薬物動態に係わることが明らかになっている。また、がんの多剤耐性を担う因子としてP-糖タンパク質(ABCB1)が同定されて以来、多剤耐性の克服をめざして、ABCトランスポーターの作用機構、基質特異性、臨床における発現量と治療抵抗性との相関、阻害剤開発について数多くの研究、報告がなされてきた。一方、抗がん剤耐性とは独立に、ABCトランスポーターが、がんの発生と悪性化に関与するという予想外の知見がこの20年間で蓄積されてきた。

本総説では、ヒトABCトランスポーターのサブファミリー構成、構造と輸送機構、生理機能と疾病、抗がん剤耐性への関与について、さらには腫瘍の発生と悪性化における役割、P-糖タンパク質阻害薬を用いたがんの化学予防の可能性について概説されている。なお、本総説は2020年度のご退職にあたり在職中の業績を中心に記述されたものです。

論文情報

タイトル:
がんの発生と悪性化におけるABC トランスポーターの役割
Role of ABC Transporters in Cancer Development and Malignant Alteration
DOI:
https://doi.org/10.1248/yakushi.22-00108
著者:
Morimasa Wada
掲載雑誌:
YAKUGAKU ZASSHI 142(11), 1201-1225 (2022)

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