学術研究トピックス
2023.07.19
【薬学科】中島健輔助教(医療薬学研究室)の研究課題が「一般財団法人東洋水産財団 2023年度 学術奨励研究」に採択されました。
研究課題
末梢組織を作用点としてうつ病予防効果を示すカンキツ未利用資源の探索
うつ病人口は急増していますが、有効な予防手段は確立されていません。本研究では、末梢組織由来細胞を用いて神経細胞の新生・成長を担う脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生を促進するカンキツ果皮および摘果カンキツの探索を行い、そのうつ病予防効果を検討します。
本研究の特色は、中枢性疾患であるうつ病の予防を、中枢ではなく末梢組織を標的として試みる点にあります。中枢性疾患の薬剤開発では、薬剤が脳へと十分移行しないために効果を発揮できない事例が多く見受けられますが、本研究は末梢組織に作用することで抗うつ効果を示すカンキツを探索するため、含有成分の脳移行性を考慮する必要はありません。
本研究により、うつ病予防効果を示すカンキツ未利用資源が明らかとなれば、うつ病予防手段の確立の一助になると期待されます。さらに本研究の推進は、カンキツ未利用資源の有効活用につながり、食品ロスの低減や廃棄物の削減にも貢献できると考えられます。