学術研究トピックス
2025.07.15
【学術研究】健康栄養学科と薬学科の共同研究課題が、「公益財団法人 ひと・健康・未来研究財団 2025年度研究助成」に採択されました。
研究課題
クメストロール高含有豆もやしのがん肺転移抑制効果の検討 −マウスモデルによる食品機能性評価−
がんは、私たちの体をつくる細胞の設計図である「遺伝子」がうまく働かなくなることで起こる病気です。正常な細胞は、一定のルールに従って分裂・増殖していますが、このコントロールが効かなくなると、細胞が無秩序に増え、周囲の組織に広がったり、体の別の場所に「転移」したりします。
共同研究者である長崎国際大学田中宏光准教授が発見したHASPIN遺伝子は、細胞の分裂を調節する重要な役割を持っており、がんの増殖にも大きく関わっていることが分かっています。これまで、HASPIN阻害薬剤のみならず、野菜に含まれるポリフェノールの一種であるクメストロールによりHASPINの働きを抑えることでがん細胞増殖を抑制できることが報告されています。
一方で、食品成分によってがんの転移を抑制できたという報告はこれまでありません。そこで本研究では、私たちが独自に開発した栽培技術によって、クメストロールの含有量を通常の10倍以上に高めた豆もやし粉末を摂取することで悪性黒色腫(皮膚がんの一種)の肺への転移を抑制できるかを検証します。
本研究は、予後不良とされる転移に対し、食を通じた新しい抑制手段を検討するものであり、がんの進行抑制に向けたこれまでにないアプローチです。また、使用する豆もやし粉末はすでにサプリメントとして商品化されており、安全性の高い機能性食品素材としての実績もあります。そのため、抗がん剤治療に伴う副作用のリスクを軽減しながら、がん患者の生活の質(QOL)を向上させる新たな選択肢としての実用化が期待される、長崎国際大学ならではの特色ある研究です。
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