社会連携トピックス
2017.06.29
【公開講座】平成29年度公開講座(第4回)を開催しました
シャボン玉から生体膜まで―ナノの世界を視る
平成29年6月24日(土)に行われた第4回目の春季公開講座は、薬学部薬学科の柴田攻教授による「シャボン玉から生体膜まで-----ナノの世界を視る-----」でした。
第1回目から3回目の講演に比べて内容がサイエンティフィックであることを考慮し、講演中に界面科学の研究が盛んなヨーロッパの景色や解析装置の写真を挿入するなど、ビギナーの受講生の方々を飽きさせない工夫がなされていました。
講演は私たちの生活でも身近な“セッケン”の成分でもある界面活性剤に焦点が当られており、単分子膜の成膜、膜形成過程の定量的測定、単分子膜の蛍光顕微鏡形態観察による視覚化などと内容は盛りだくさんでした。この研究の魅力は試料の量が少量でも行えることに加え、人間の細胞表面を模写することが出来、薬剤の取り込みの解明など幅広い分野に貢献できることにあり、薬学の分野でも重要な研究であることを理解することが出来ました。講演中に柴田教授がご自身の最新の研究テーマである“細胞膜が分子を識別するメカニズムを解明”が長崎新聞などで報道されたことを紹介すると、多くの受講生がその記事のコピーをリクエストするなど、研究の注目度の高さが伺えました。
研究の内容だけでなく、界面化学界の第一人者でノーベル賞受賞物理化学者であるLangmuir博士が“糸とろうとハサミ”のみで単分子膜の展開方法を開発するなど界面化学が発展していった科学史についてもお話され、受講生の皆さんの好奇心を刺激し、秋季の公開講座につながる大盛況な講演となりました。