標題の件につきまして、本調査を実施し、調査結果（研究成果）をプレプリントサーバーのmedRxivに投稿し公開（8/5付）されましたのでお知らせいたします。

本邦での新型コロナウイルスワクチン接種は、これまで65歳以上の高齢者に対してファイザー社製のコミナティ^🄬筋注が用いられてきた。しかし、2021年6月21日より新たに始まった職域接種では、より若年層への接種者が行われ、使用するワクチンもこれまでと異なるCOVID-19ワクチンモデルナ筋注^🄬が用いられる。

これら新たな状況での有害事象の情報は乏しく、これを明らかとするため、長崎国際大学で実施された１回目職域接種に併せて有害事象に関する横断研究を行った。

本研究成果は、プレプリントサーバーのmedRxivに公開された（7月23日論文受理、8月5日公開）。

• doi  https://doi.org/10.1101/2021.07.23.21261029

研究のポイント

• ワクチン接種後早期の有害事象は診療録より、接種会場を離れた後の有害事象はアンケートにより情報を得た。
• ワクチン接種の3,998名の内、ワクチン接種会場で被接種者女性１名がアナフィラキシーを発症した（発症率0.03％）。
• アンケート調査に同意した1,877人のデータの分析結果を以下に示す：
  • 接種部位の有害事象は82％で発生し、注射部位の痛みが最も多かった（71％）。
  • 全身の有害事象は48％で発生し、筋肉痛が最も多かった（34％）。
  • 多くの有害事象は接種当日から翌日に発症し、2-3日間症状が持続した。
  • 接種部位の有害事象は90%以上が無治療、全身性の有害事象発症の20-40%がアセトアミノフェンを服用した。
  • 多変量ロジスティック回帰分析の結果「女性」、「未成年」、「アレルギー歴」、「副作用歴」が有害事象発生に対する独立した有意な影響因子だった（以下OR[95%CI]）。
    • 女性：接種部位の有害事象2.15（1.69-2.73）
      　　　 全身の有害事象2.49（2.03-3.06）
    • 未成年：全身性の有害事象1.80（1.44-2.24）
    • アレルギー歴：接種部位の有害事象1.73(1.10-2.74)
      　　　　　　　 全身の有害事象1.39(1.03-1.89)
    • 副作用歴：接種部位の有害事象3.11(1.12-8.65)
      　　　　　 全身の有害事象1.53(1.02-2.29)

研究の背景と意義

COVID-19ワクチンモデルナ筋注^🄬での副反応疫学情報は少人数の臨床試験と自衛隊での接種以外ほとんどない。
本研究は、未成年者を含む65歳以下に対するCOVID-19ワクチンモデルナ筋注^🄬の有害事象に関する本邦で最初の報告であり、「未成年者」が有害事象発現のリスク因子であることを初めて明らかにした。この結果は、今後国内で開始される12歳までのより若年者に対するワクチン接種を安全に行うための有益な情報である。

今後の展開

変異株のさらなる出現も予想されるため、このワクチンは複数回接種することとなっている。今後、２回目接種後の有害事象についても同様にアンケート調査を行う予定である。

掲載論文

Adverse events following COVID-19 virus vaccination in Japanese young population: The first cross-sectional study conducted by a questionnaire survey after the first-time-injection Marie Suehiro, Shinya Okubo, Kensuke Nakajima, Kosuke Kanda, Masanobu Hayakawa, Shigeru Oiso, Tsutomu Kabashima, Hideaki Fujita, Yukio Ando, Takahiro Muro

※お断り：この論文は審査前にプレプリントサーバーへ登録、公開されたものです。今後、学術雑誌での審査により論文内容が修正される可能性があります。

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