学術研究トピックス
2025.09.17
【学術研究】薬学部 田中准教授を中心とする研究チームが、豆モヤシの経口摂取によりヒト男性の血中テストステロン値が上昇することを論文発表しました。
薬学部 分子生物学研究室の田中准教授らは、大阪大学、順天堂大学と共同でヒト臨床研究を行い、クメストロール多く含む豆モヤシを経口摂取することにより、男性ホルモンであるテストステロン値が上昇することを明らかにしました。本研究成果は、国際科学雑誌「Biology」誌オンライン版(2025年7月22日)に掲載されました。
田中准教授は、35年ほど前からHASPIN遺伝子に関する研究を行ってきました。これまでの研究成果を応用するために、田中准教授らは最近、HASPIN阻害剤として知られるクメストロールを通常より約20倍多く含む豆モヤシの栽培法を開発しました。これまでに動物実験において、この豆モヤシが血中テストステロン値を上昇させること、およびアルツハイマー病の発症や大腸がんポリープの増殖を抑制することを明らかにしてきました。
今回のヒト臨床研究では、開発した栽培法で得られた豆モヤシの経口摂取によりテストステロン値が上昇することが確認できました。加齢によるテストステロン値の低下は、加齢によって発症する様々な病気に関連する加齢性腺機能低下症などを引き起こします。豆モヤシの摂取によりヒトにおいてもテストステロン値が上昇することから、今後はヒトでのアルツハイマー病やがんに対する研究にも繋がるものと考えられます。
原著論文情報
- 題名:
- Oral Ingestion of Bean Sprouts Containing the HASPIN Inhibitor Coumestrol Increased Blood Testosterone Levels in Men.
- 著者:
- Kakazu, K., Tsujimura, A., Miyagawa, Y., Takezawa, K., Kobayashi, K., Yoshimura, R., Nakajima, K., Kamiya, S., & Tanaka, H.
- 掲載雑誌:
- Biology, (2025)14(8), 907.
- リンク:
- https://doi.org/10.3390/biology14080907